第1章 女神降臨
何かが燃え燻(くすぶ)っている臭いで、瑠璃は目を覚ました。
目を開くと過ぎ行く雷雲。
(外……)
打ち付けただろう痛みはあるものの、外傷はなさそうだった。
(どこ…なの…?)
耳を澄ますと人の呻くような声が遠くに聞こえ、
それに混じって金属が金属を弾く様な甲高い音も聞こえる。
そろり と身を起こし立ち上がって目に入った光景は
余りにも悲惨、凄惨な世界観だった……。
「‼︎」
両手で口元を覆って絶句した。
「い………」
叫ぼうとしたけれど、その声も乾いた喉に貼り付いて出てこなかった。
(人が……皆……)
茫然と周りを見回しても、倒れた人、倒れた馬、
呻く人、息絶えた人ばかり。
通常ではあり得ない、信じ難い光景
「ここ……地獄なの……?」
呆けた口からようやく出た言葉は、
そんなどうしようもない一言。
眼下は見渡す限りの平原
でも、焼け野原で、血の衣を纏って息絶えた人。
虫の息で転がる人。
呻き声が地の果てから自分を連れに来ているのではないか…と
思う程の景色
これを地獄と言わず何と表現するのか……。
全身が震えて立っている事が出来なくて膝をついた。