第63章 (終章)笑桜舞う春
天皇が後日、吉野に花見に行こうと、
瑠璃に提案してきた。
が、
「なんと、恐れ多いことにございましょう!
…ですが…、ワタクシ共は、安土に戻って花見をさせていただきます」
丁寧にではあるがキッパリと瑠璃が断った。
恐れもひるみもしない、堂々とした態度で。
一瞬にして公家側の空気が凍りついた。
武家側はどこ吹く風で、信長も光秀も澄まし顔。
どころか、苦笑いを隠していた。
控えている公家達がヒソヒソと瑠璃に陰口を言い始める。
「吉野の桜は美しい」
「それは、充分に承知しております」
「では、良いではないか、我々がもてなすのだぞ」
(もてなしの為の金銭や人員は…)