第62章 同刻同進
「源蔵さん」
「⁉︎」
瑠璃声をかけると、源蔵が振り返って重い玉鋼を落とした。
口をあんぐりと開いて停止している。
「……ひ、姫さん……」
「お久しぶりです、ね」
何人かいた刀工見習いの男性達が、
源蔵と瑠璃を見ていた。
「以前より日に焼けましたね。
腕も太くなって、掌もマメだらけやね」
瑠璃が源蔵の手を取って、
労わるようにそっと掌に手を重ねた。
「…あ…あ、ぁ……////」
真っ赤な顔の源蔵はアワアワいってるだけで、言葉にならない。
未だ女性への免疫力ゼロの源蔵だ。
それに、そんなことされて、
勘違いしない男は少ないだろうに、
それを計算なしにやってのける、
天然瑠璃の悪女っぷり。