第62章 同刻同進
「腕の中にお前がいるのが、夢みたいだ」
感慨深い声音で政宗が言った。
「久しぶりに良く寝れた」
「政宗…」
政宗の語感や声音は苦衷としてはなく、
眠れたことを晴々と喜安している様であった。
が、
政宗の言葉に瑠璃は悲しくなった。
それは、瑠璃と離れている間、
ずっと眠れない夜を過ごしていた と言う事だから。
眠れない夜を何度数えたのか。
熱を持て余した夜を何度慰めたか。
それは瑠璃も同じだけれど、
そうしていた時間の長さが違う。
どんな言葉を続けたらいいのか分からなくて瑠璃は唇を噛んで、政宗の手を強く握った。