第10章 睦月の旅路(R18)
それから……
みぞれの日も、雪の日もあった。
風が強くて殆ど進めない日もあった。
(昔の旅って、天候だけでもスンナリといかなくて、過酷で、大変だったんだ…)
「瑠璃、明日は小田原だ。
少し休んで行こう。
頑張れよ」
「はい、ありがとうございます」
政宗が7日と言っていた距離は、冬の悪天候もあって、既に10日かかっている。
初めての馬の長旅に、瑠璃は疲労困憊を通り越し、すっかり疲弊し限界だった。
寒さが体力を奪った。
ここまで、弱音ひとつ吐かなかった瑠璃は賞賛に値する。
(我慢しやがってっ)
力無く笑う瑠璃を見て政宗は深慮した。
小田原に着くと、早めに宿に入った。
「瑠璃、お前は部屋で休んでろ。
俺はちょっと出掛けてくる」
「ん…日暮れには戻って下さいね」
さすがの瑠璃も一緒に行く気力がなかった。
それだけ言うと、荷を置き、布団を引っ張り出し閨の準備をしている。
「早めに戻る。ゆっくりしてろ」
顔色の良くない瑠璃が心配ではあるが、
政宗は瑠璃を残して町へ出掛けた。