第58章 花雪の降る処
朝廷から征夷大将軍、関白、大政大臣、の
三職いずれかへの就任を、打診されていた信長だったが、
それを、「今はまだ時期ではない」と保留していた。
「その様な、旧政権の権力が無くとも、
信長様の力は示されるのですから、
切り札はとって置かれるのが良いのでは?」
と狡賢い狐が小声で囁いた。
重要な役職である三職就任を餌にしても、
食いついて来ない信長に、時の天皇である正親町天皇は、焦る思いで対応していた。
信長の力を持ってすれば、天皇である自分を島流し に出来るほど、その力は既に強大だったからだ。