第58章 花雪の降る処
やって来たのは内裏からすぐ、
二条城から三条まで続く「禁苑」と呼ばれ、
その昔は天皇や皇族しか入れなかったと言われる、広大な庭園「神泉苑」
春は梅に桜、夏は菖蒲 杜若、
秋は紅葉 楓、冬は椿 山茶花と花の名所だ。
「これは美しいですね。
梅や桜だけてなく、梨花、林檎もあります」
三成が感嘆した。
昔、皇族は舟を浮かべ、遊覧して楽しんでいたと言う。
「もっと手入れをさせてやらねば」
朝廷が金銭的に余裕のなくなっている昨今、
宴遊会を開く事も出来ず、広大なこの苑の手入れも疎かになっていた。
見渡せば 低くあるはずの木々は、
高く葉を茂らせようとしている。