第52章 隔世遼遥
「そんなの…信じられない…」
美弥が呆けた声を溢した。
(俺だって信じられない、信じたくないっ)
だから話したくなかった。
悟られたくなかった。
想えば、思い出せば、辛くなる。
発狂しそうなほどに。
それを耐えていたというのに…
(この女は……)
「消えたんだよッッ‼︎」
政宗は感情にまかせ、ぶち撒ける様に尖った声を張り上げていた。
政宗の声にその場が凍りついた。
美弥への怒りの形相。
けれど、その一言は悲嘆に震えた声音だったから。
「ごめん…」
さすがの美弥も察したのか、
泣きそうな声で謝罪する。
「無神経だった…ごめんなさい…」
美弥の 無神経さ、無邪気さに、
時には救われることもあるが、
逆に傷つくこともある。