第50章 追懐秋天(R18)
「‼︎ あ"っ!」
ビクッと体を強張らせ、突然襲われた鋭い痛みに、声を上げた。
「いっっ!ああっ!」
政宗が肩に噛み付いたのだ。
歯を立てられる。
「ゔっぁ…ん"っ…まさ、むねっ…」
痛みに顔を顰めながら、視線を流せば、
鋭い政宗の眼に見射られた。
(いつか、言ってた)
『俺は、お前の事となると、心を失うんだ』
(山月記の心を失った獣は自分だと)
獲物を狙い狩る動物の様なギラギラとした政宗の瞳。
瑠璃はそれを見つめながら、口を開く。
「…食べて…いいですよ…」
そして、鮮やかにうっとりと笑った。