第50章 追懐秋天(R18)
縁側で銀木犀の甘い花香を匂ぎながら、
この1年半を思い出していると、
フワリと白檀の香りが漂って、背後から
ぎゅっっ と抱きしめられた。
「なーに、考えてるんだ?」
普通、物思いに更ける時は、夜に月を見ながら…という奴が多いが、
コイツはいつも、昼間に晴れた空を見上げながら考えている。
何故だろう。
「お前はいつも、昼間に考え事をしているな」
「夜、暗いと、悪い方に考えてしまいませんか?
明るい昼間だと、悪い事も少しは良く考えられる気がして」
「ふーん。
お前、意外と単純で前向きなんだな」
「政宗よりは複雑だと思いますよ?」
揶揄って笑った俺を振り仰いで、
負けじと瑠璃が美しく笑った。