第49章 創痕緩癒(R18)
「…瑠璃…お前…」
政宗には、何故 瑠璃が、辛そうにも痛そうにもしないのかが、解らなかった。
瑠璃が精神力も心も強いと知っていて、
それを含め、敬慕している。
けれど、平和な時代の普通の女には変わりない。
それなのに、こんな不安定な世に置かれて、監禁暴行を受け酷く傷ついても、不安も弱さも、ほとんど見せない。
「どうして そんなに笑っていられる。
なんで泣いたり忿嫉(ふんしつ)したりしない。
…我慢する必要も、弱さを隠す必要もないんだぞ」
政宗には、まだ、瑠璃が独りで、
我慢し、隠しているように思えて、
歯痒くなる時があるのだ。
それは政宗が、瑠璃を大切に想い、
痛みも悲しみも、辛さも、
お互い 分け合いたいと思っいるから。
※忿嫉…怒り憎む。