第46章 狂地からの救出
「謝りたい……」
「謝るのではなく、礼を言ってやれ。
ボロ雑巾のようになってまで、守り、
生きて帰ったのだ。
もちろん、今度な」
美弥の頭をポンと撫でる。
瑠璃ならそう言うと思った。
どんな思いを抱えていたとしても、
誰を責めもせず、傷みも見せず、
過ぎ去った事だとして
『謝るのでなく、お礼を言って頂きたいですね』
と、柔麗な笑顔を作って、ちょっと意地悪く
銀鼠色の瞳をクルッと向けて来るだろう。
信長はそう言っている強く美しい瑠璃の笑顔を想像していた。
その日を楽しみにして待つ。