第46章 狂地からの救出
瑠璃はあの廃屋敷に連れて来られ、
格子部屋に入れられる前、よろけて座り込んだ際、すぐ側に落ちていた、割れた茶碗の破片を、気づかれないように、
手の中に入れていたのだった。
「瑠璃は香に混ざって大麻が焚かれているって気付いていたって事になりますね。
…信じられないな…」
神妙な顔つきで家康は瑠璃を見下す。
「大麻を吸えばどうなるかも、
知識として持っていたってことだな。
500年後には一般的な知識なのかもしれないがーー…」
何にしても、この女は何処まで強かなのか。
小さな破片で身も心も守り切った。
ボロボロになりながらも…。
2人は驚きと安堵と心痛しながら、
痛々しい姿で目を閉じている瑠璃を、
今一度 見て溜め息をついた。