第45章 煙に隠れた人探し
政宗が瑠璃を想っている頃、
瑠璃は泣いていた。
まだ、朝 明るいのに、瑠璃には暗闇だった。
幻覚。
それも、最悪の幻覚。
大好きな兄が死んだ。
母に叱られ、叩かれ、泣いて逃げた。
あの日 戦場の兵士が、母の顔で追いかけて来る。
(殺されるっっ)
「…いっやぁぁーーっっ!来ないでぇぇー‼︎」
そんな 変わる変わるやってくる幻覚から、
やっと目覚めると、吐き気が襲って来て、
頭が割れるように痛くなる。
それを、もう何度も繰り返していて、
変になりそうだった。
(…お、水…のどが、渇く……)