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「今年より」「春雨は」「旅人の」

第1章 桜の想い出


約7年後ー坂田銀時、桂小太郎、高杉晋助、攘夷戦争参戦。

そして。

万事屋から、眠そうな目をした銀時が、ゴザを抱えて出て来た。
新八と神楽、定春も一緒だ。
「よーし、今日は花見の場所取りのバイトが4件だ。万事屋もちょうど4人。皆で元気に働くぞ」
「銀ちゃん、本当にお団子買ってくれるアルカ?」
「おー買ってやる買ってやる。ただし、場所取りのバイトちゃんと終わったらな」
「神楽ちゃん、途中で飽きたとか言って、いなくなっちゃダメだよ」
「そんな事しないアル。新八こそ、風で飛ばされないようにな」
「それ、僕を眼鏡だと思って言ってるよね」
背後でやり合い2人の声を聞きながら、銀時は風に舞う桜の花びらを見た。
「おいお前ら、桜の花言葉って知ってるか?」
「花言葉?銀さんどうしたんですか急に」
「なんか銀ちゃんらしくないアル」
戸惑う2人に、銀時は苦笑した。

花見客で賑わう公園から少し離れた、川原に咲く桜の下。
桂小太郎はエリザベスと並んで花見をしていた。
「エリザベス、綺麗だなぁ」
『そうだね』
「…桜の花言葉を知っているか?」
『花言葉?』
「そうだ。桜の種類によっても色々あって、それぞれでも違うのだがな…」
小太郎は、そこで言葉を切り、唇を噛んだ。
隣では、エリザベスがその大きな目で見つめている。

鬼兵隊の船内。
煙管を手に、甲板に立つ高杉晋助。
その眼下に、薄紅色の桜並木が見える。
「晋助、1人で花見か?拙者も混ぜてくれ」
そう言って近づいてくる万斉をちらりと見て、無言で紫煙を吹いた晋助は、視線を桜に戻したまま言った。
「万斉、お前桜の花言葉って知ってるか?」
「花言葉?またずいぶん可愛らしい事を言いだすでござるな」
微かに笑いを浮かべる晋助を、万斉は不思議そうな顔で見た。


「「「桜の花言葉はな…私を忘れないで。って言うんだ」」」
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