第8章 [う] うちにおいでよ。....R18
「テツくん、、、」
玄関からガチャリと音がして、私は彼の元に駆け寄った。私を見下ろすテツくんは少し疲れた表情で、でも一瞬でいつも私を甘やかしてくれる笑顔に変わり、その優しさに嬉しさと罪悪感で胸の奥がピリピリした。
「大丈夫?」
「うん。帰ってった。」
「ごめんね、、、テツくんにこんな事させるなんて、、、」
「そんなら、ありがとうって言ってよ。な?」
「うん。ありがとう、テツくん。」
「なぁ、さっき言ったの覚えてる?」
「ん?」
「絶対離さないって言うやつ。」
彼がくれた優しい言葉は全部覚えている。
父親との柵がなくなった今、テツくんのその言葉に重みが増していく。
(私、テツくんのものになっていいんだ、、、)
ドクンッ ドクンッ ドクンッ
そう自覚した瞬間、胸が高鳴って顔が急激に熱くなった。
どちらからともなく伸ばした手は絡み合い、テツくんは私を強く引き寄せ、ひょいっと意図も簡単に抱き上げベッドへと連れて行った。
トサリ、、、
涙で腫れた目元に触れる唇。
すぐ近くにあるテツくんの視線は鋭く熱くて、目と目が合うのを合図に、私たちは唇を重ねた。
顎を掴まれ激しく貪るようなキスは、乱暴なんかじゃなくて、彼の溢れる気持ちが私の中を満たしていくような、そんなあたたかくて優しいキスだった。息継ぎする間も無く、やっとの思いで開けた口の隙間からテツくんの長い舌が侵入してきて、私の中を暴いていく。
くちゅ、、ちゅぷ、、、くちゅ、くちゅ、、
酸欠で朦朧とする頭。
だけどそれさえも堪らなく愛おしい感覚で、私は彼に合わせて舌を絡ませた。
「茉莉ちゃん。好きです。」
「私も、テツくんが好き。」
真っ直ぐに私を見下ろす彼は、初めて告白してくれた時と違って、確かな想いを持って私に向き合ってくれている、、、そんな風に見えた。
「あのおっさんと茉莉ちゃんがシてたかと思うと許せないんだよなぁ、、、。」
「それは、その、、、、」
「だからね、これからぜーんぶ鉄朗くんが上書きしちゃうけどいいですか?」
「うん。テツくんでいっぱいにして、、、」
「いいねぇ、ソレ。すげぇそそる。覚悟しろよ。」
私の耳元で低く甘く響いたその言葉と同時、耳朶を甘噛みされ、私はあられもない声をあげた。