第8章 [う] うちにおいでよ。....R18
茉莉ちゃんにセックスを拒まれてから1週間ほどが立った。その間、今までほとんど毎日顔を合わせていたはずなのに、パタリと彼女は部屋に来なくなり、俺は意気消沈。
隣の部屋のチャイムを鳴らせばきっと彼女はいるだろうし、バイト先の本屋に行けば会えるかもしれない。そうとわかっていながらも、俺はそれが出来なくて、自分のヘタレさ加減にがっかりする日々だった。
11月17日。
誕生日だと言うのに、
俺は何やってるんだろうかーーー。
大学の学食でため息混じりに昼飯を食べていると背後から声を掛けられ、振り返るとそこにはかけ蕎麦が乗ったトレーを持った北くんがいた。
「なんや、えらく辛気臭い顔しとるな。」
「あら、北くん。聞いてくれます?俺の恋バナ。」
「やめとくわ。アドバイスなんてできへんしな。」
「聞くだけ聞いてくれても良くないですか!?」
「ほんなら聞くだけ。」
大学で一緒になった稲荷崎出身の北くんは、春高で烏野と戦った者同士すぐに打ち解けた。事の顛末を話すと、相変わらずの無表情が口を開く。
「黒尾がチャラいんがわるいんやないんか?それ。」
「マジレスどーも。」
「付き合ってへんのやろ?その人と。」
「うん、まぁね!でも良い雰囲気だったんですー!!!」
その後も北くんからの正論パンチと言う名の誕生日プレゼントは続き、こてんぱんにのされた俺は、上の空で注文した昼飯のカツ丼を食べきることもできず、昼休みを終えた。
だけどその日。
俺の憂鬱を無視して、状況は猛スピードで変わっていった。