第8章 [う] うちにおいでよ。....R18
「「あ、、、」」
翌朝。
出かけようと玄関の扉を開けた瞬間、さっそく昨日の赤ブラジャーさんと鉢合わせた。
白いシャツに、デニム。
ロング丈の厚手のニットのカーディガンを羽織った彼女は、昨日はかけていなかったお洒落な丸メガネをしていて、髪は一つに結んでいる。
「昨日は、本当にごめんなさい。」
「いえいえ。」
「隣に引っ越してきた皆川茉莉です。よろしくお願いします。」
「ご丁寧にどうも、、、黒尾です。」
「あの、、、えっと、お出かけ?」
「あぁ、大学に。」
「え!?大学生!?」
「そうですけど、見えませんかね?」
「見えない見えない!!年上かと思ったもん。私はしがないフリーターです。じゃあ、学校頑張って!」
秋晴れの空みたいなからりとした笑顔で手を振って、足早に出かけていく彼女の背中を見送る。
(茉莉さん、、、、。)
頭の中で呼んでみると、
なんだかくすぐったい気持ちになった。
その日一日中、茉莉さんの事が頭から離れない自分がいた。
(ある日突然隣に美女が、、、漫画だったらなんか始まりそうなシチュエーションだよなぁ、、、。)
そんなきっと起こり得ない妄想をぼんやりと描きながら講義を受け、昼飯を食い、また講義を受け、バレーをした。
(んな美女にうつつを抜かしている場合じゃねーよな。)
俺がわざわざ大阪に来たのは、スカウトしてくれたバレーの強豪大学に通う為。木兎や烏野のチビちゃんや影山くんみたく俺は秀でた才能なんてないと思ってたから、バレーは高校で辞めるつもりだったんだ。だけど、そんな俺にただ一校スカウトが来た。
このチャンスを逃す手はない。
そう思って俺は一人大阪に飛び出してきたわけだ。