第8章 [う] うちにおいでよ。....R18
(おいおい、、、、、
、、、、って、そこ俺の部屋じゃねーか!?)
「あのー、、、、部屋間違えてません?」
恐る恐る声をかける。
「この家の人!?」
こちらを振り向いた時にふわりと舞う、栗色の長い髪。
「お願いします早く開けてそして私を部屋に入れてくださいお願いします!!!!」
とんでもない早口で迫ってくる彼女。
しかし、それを他所に胸の奥は高鳴った。
(それに、なんか懐かしい話し方、、、)
「あれ?もしかして関東のひ
「い・い・か・ら・は・や・く」
久々に聞いた言葉のイントネーションが、ホームシックな俺の心を少し温めてくれる。かと思いきや、そんな余裕も与えられる事もなく急かされるまま俺は部屋の鍵を開けた。
なんて不用心なんだ。
見知らぬ人を部屋にあげるなんて。
そんな当たり前な事すら浮かぶ前に、ガチャリと音を立てて鍵が開いたのを確認すると、彼女は一目散にドアを開けた。
「ちょ、ちょっと!?」
ドタドダドタドタドダドタ、、、
一直線に慌ただしく駆けていくその背中は、ベランダに向かう。
「ちょっと、お姉さん!?ベランダに何が、、、」
「良かったー!飛ばされてなかった!!」
俺の心配をよそに、奥から聞こえてくる安堵の声。
くるりと振り向いた彼女の足元には、少しやらしい雑誌や脱ぎ捨てた服が散乱していて、とても女子をあげられる部屋とは言い難い。
「あのー、、、」
「ど、どうも、お邪魔しました、、、、」
無事目的を達成したのか彼女はペコリと頭を下げて、未だ玄関先で呆然としている俺の横を今度は少し恐縮した様子で通り過ぎていく。
柔らかそうな栗色の髪が揺れ、甘いシャンプーの香りがする。そして、彼女の右手にはさっきまではなかった、目が醒めるほどの赤い下着ーーー。
その人はそのまま靴をつっかけて、隣の部屋のドアを開け中へと姿を消した。
「あぁ、、、風で、うちのベランダに、、、」
これが、
俺と隣人である
皆川茉莉との出会い。
(結構派手なのしてるんデスネ。
、、、あと、ちょっと可愛いかった。)
冷めきったおでんの大根に箸を通しながら、俺はそんな事を思った。