第4章 [お] おとがいにそっと口付けて....R18
彼女の冗談みたいな本音みたいな言葉に、俺は笑みを返す。
「黒のレースTバックだと黒尾さんは喜びます」
「バカ」
全身で呼吸しながら俺を一言罵倒する茉莉。
その頬を、頭を、唇を、順に撫でたところで「その白衣」と彼女がぽつりと漏らしてくる。
「…似合ってる…」
「それ、クラスの連中にも言われた」
「女子?」
「妬いたりする?」
「…する。カッコいいもん…眼鏡も普段と雰囲気違うし」
「んじゃ、せっかくだからお医者さんごっこ続ける?」
「バカ」
2度目の罵倒は、でも、力弱い声だったので、俺は胸ポケットに押し込んでた黒縁眼鏡を改めて掛けて冗談混じりに尋ね聞く。
「惚れた?」
ちょっと眼差しを揺らした彼女は、聞き間違えたらしい。
小声で、
「…濡れた…」
と答えた。
思わず上がってしまった口角を必死に抑えて、俺は彼女の膝を開くと薄暗い室内でも妖しく照り光る場所を指でなぞってから、顔を埋めた。
「あ、あ、あぁぁぁっ」
「ン…ぁ…ハァ…ッ、ぁ…」
噎せるような果実みたいに甘い香りの汁を、舐めて啜って貪って。
すすり泣きに近い悲鳴を耳で楽しんで、でもそれだけでは満たされていない俺の身体が彼女を欲しがって、俺は急く心のままに身体を起こすと予告もせずに彼女のナカに怒張した己を突き立てる。
「ああっ!」
背を弓なりに反らせて叫んだ茉莉の、露わな白い胸が揺れた。
それを掴んで揉みしだき、腰を打つ。
何度も、何度も。
無我夢中に己の楔を打ち込んで――気付けば彼女に言っていた。
「…茉莉、ァ…すげぇ…会いた、かった…ッ、ァ…」
合宿期間中だって、年末年始の離れ離れの時期だって、こんなこと言ったことない。
茉莉に「黒尾さんに会えなくて寂しかったデスかー?」なんて茶化して聞くことはあったとしても…自分から、そんなことを言ったことは、1度もない。
だから、たぶん、これは生まれて初めての弱音が混じった本音の吐露。
「ぁ、ぁ、んっ…あっ、ゃ、ぁ、てつ、ろ…あぁっ」
長机が上げる悲鳴に彼女の淫靡で甘美な艶声が混じり、そこに、じゅぷじゅぷと俺らが交わって奏でる卑猥な音も重なっていく。
俺を引きちぎらんばかりに締め上げる彼女の下の口に、俺は時折、
「ぅ、ァ…」
と呻いて耐えて、背中から脳みその中心までビリビリと走る快感を存分に味わう。