第4章 [お] おとがいにそっと口付けて....R18
「ぁ、てつ、ろ、激し、ぁ、あ、あぁっ」
茉莉は俺をきつく締め上げながら、両脚を俺の腰に巻きつけてくる。
机の上で背を反らす彼女が発する戦慄き、それに情欲が掻き立てられる。
愛おしさが全身を熱く、熱く、燃やす。
「茉莉…ッ」
俺は眼鏡を指の腹で押し上げてから大きく息をつき、覆いかぶさるようにして楔を深く打ち込んだ。
そうして、彼女の奥を揺さぶり出した。
「あぁぁぁぁっ、やぁ、だめぇ、あ、あぁぁぁっ!」
「アァ、茉莉ッ、ハァ、ァ…っ、ァッ」
俺が茉莉を欲して、茉莉が俺を欲する。
空白を補うようにぴたりと埋めあった身体がもたらす悦びに何もかもが溶けていく。
好きだ。
こんなにも好きだ。
好きで、好きで――満たされる。
「あ、あ、あぁぁ!」
高く放たれる声音が部屋に反響する。
さすがに俺は彼女の口を手で覆い、そのまま果ての兆しへと、ひた走る。
「茉莉、ァ、ハァ、ァッ」
「ん、んんんっ、んんんんんっ!」
眉間に深く皺を刻んで、ぎゅっと目を瞑った彼女の身体がびくんと跳ねて震えた。
刹那、俺も目を瞑った。
脳裏が眩ゆい閃光に染め抜かれ、身体中のすべての血液が沸騰し――大きな音を立てて一箇所で爆発した。
受け止めた彼女が、また、俺の手のひらに甘く湿った吐息で応え、俺はそれがどうしようもなくたまらなくて、自分の手を退かしてすぐさまキスを落とす。
「ハァ…ァ…」
「てつ、ろ…」
過呼吸にでもなるんじゃないか…そのくらい激しい息遣いの中で、声というよりも音を落として茉莉が俺を呼ぶ。
同じくらい、乱れた息を彼女の唇にかけながら俺は続いて紡がれる言葉を待つ。
「私、も…会い、たかっ、た…」
これ以上ない告白。
言った当人は、俺をそっと押し退けて薄紅に染まった頰を、目元を慌てて隠す。
あぁ、もう、ホント、俺の彼女サンは。
俺は、何か言おうとして、何も言えずに荒い息だけ落とす。
狂おしいくらいに愛おしい目の前の存在。
どうしてくれようか。
(…ま、答えは出てるか)
相思相愛、両想い。
ようやく会えたこの時に、余さず想いを伝えるしかない。
彼女の両手が隠していない、その頤にそっと口付けて、次いで唇に俺は告げる。
「皆川さん、先生、もう少し診察したいです。っていうか、します」