第2章 [く] クロ猫と傘と恋....R18
「茉莉さん…!」
久しぶりの温もり
甘過ぎない茉莉さんの香りに
「ゴメン…なんか…止まんねぇ」
触れ過ぎてしまう指
『クロくん!?
あの…待って……』
「…ヤッパリ駄目?
怒ってる…よなァ…」
必死に止めた指を
『怒ってるって言うか!
あの…止めた方が良い…よ
私は…その…クロくんを
縛り付けちゃう…から…
これ以上好きになったら…
重荷に…なっちゃう…から』
茉莉さんがグッと押し返す
「え?好き?
茉莉さんが俺を?」
『ゴメン…理解あるフリ出来ない…
私だけのが良いとか…思っちゃう…
だから…これ以上しないで…』
押し返されてるのに
湧き上がってしまう
悲しく悔しい感情
そして
「茉莉さん」
『クロくん…離して…』
「離せねぇ
そんな事聞いちまったら
もう、止まれねぇ
茉莉さん…俺も
アンタを独占したかった…
でも…俺…ズルいから…
抱けなかった…
抱いたら…もう…誰も抱けなくなる…
アンタしか見えなくなるのが
怖い…から…
それなのに失う日ばっか想像して
苦しかった…から」
溢れて止まらない
情けない本音
押し返されても絡める指
引き寄せる身体
次第に重なって
包み合うお互いの肌の奥の奥
「好き…で居て良い?
俺だけの人になって欲しい」
『…なりたい…』
心がやっと触れ合った
説明したい俺の事情とか
なんか色々あった気がするのに
そんなのブッ飛ぶくらい
茉莉さんの声が嬉しくて
「…多分…引くくらいガッツクけど
良いッスか…?」
キスの手前で止めた唇で最終確認
『…ダメなんて言えないくらい
夢中にさせて』
招き入れられた身体
軽く触れた唇
ただのキスなのに骨抜きにされそうなくらい
幸せで気持ちよくて
「知らねぇぞ
添い寝じゃ済まないから」
一気に盛り上がるテンション
フワリと抱き上げた身体を
いつもと同じベットに運ぶ
いつもと違うのは
「鉄朗。黒尾鉄朗っての。俺の名前」
『私…は…皆川茉莉』
「もう”さん付け”はナシで良い?
カレカノでソレはナシだろ?な?
茉莉…」
『うん…鉄朗…って呼びたい
もっと…呼ばれたい…』
お互いの呼び名だけじゃない
「『好き…ずっと…好きだった…』」