【JOJO・アヴドゥル夢※R18】先生と一緒に【現パロ】
第5章 私は何を待っているんだ
姫は、休憩室でぼーっとした顔で座っていた。彼女のスマホに、叔母からのメッセージが入る。
彼女はそれを見て『うん、元気にやってるよ!』と返信した。
そして、スマホを机に伏せると深い溜息が出る。
「(先生、綺麗な人と一緒に来てた……もしかして彼女さんかなあ)」
ちくちくと胸が痛む。
この関係は、姫が強引に始めてしまったものだ。嫉妬する資格も、気にする資格も何も無い。
相手をしてもらっているだけでも、ありがたいのだ。
どんよりとした面持ちで、机に突っ伏す。まかない弁当が用意されているが、姫の胃袋は欲していない。
「(これは持って帰って、朝ごはんにしよう……)」
1時間の休憩を終えて「学費の為にも今日もラストまで頑張らなきゃ」と顔をぺしっと叩き、またホールに出る。……もうピークの時間は過ぎており、客はだいぶ減っていた。
アヴドゥルが視界にすぐ入る。「あれ……?」と声が出た。彼は1人でテーブルについていた。
あちらも、姫に気付いて、手を「こい」と動かす。
「あ、あの、……せんせい……?」
そばまで行くと、アヴドゥルは口を開いた。
「バイトは何時までだ?」
姫は「え……」と声を出し、慌てて返答した。「0時までです」
アヴドゥルは腕時計を見ながら「そうか……」と言った。時計の針は時刻は午後10時半を回っていた。
姫は、周囲を見渡し、おずおずと彼に尋ねた。
「あの…………お連れの方は」
「あいつは彼女じゃあないからな!」間入れずアヴドゥルが言う。
その剣幕に気圧されながら、姫は口を開いた。
「っ! い、いいえ……いらっしゃらないなあと……思ったので」
「っ!」
アヴドゥルの顔が、かぁっと赤くなる。
姫にマライアとの関係を勘違いされても、別段何も困ることは無いのに……彼は反射的に「勘違いされたくない」と思ってしまった。
「(これは、あれだ……あのマライアと恋人と思われるのが嫌だってだけなんだ……)」
アヴドゥルは、姫を見上げる。
彼女は……赤い頬で、彼を見ていた。
見とれているようないつもの潤んだ瞳で、柔らかい唇を少し開けて。
それを見ると、いつも心がざわつく。