【JOJO・アヴドゥル夢※R18】先生と一緒に【現パロ】
第3章 かっこいい
大学の入学式の時、私が覚えている限りは、ほとんど生徒が保護者と出席していた。周りから「おめでとう」とか「頑張るのよ」と、たくさんの声が聞こえた。その喧騒は、いつの間にか遠のいて、まるで、一人きりで暗闇に座っているようにさえ感じた。
私には、両親はいない。2人とも、私が中学生の時に事故で帰らぬ人となった。
親戚に無理を承知でお願いした大学への入学。どうしても昔から夢だった子供と関わる仕事は諦められなかった。
金銭的に苦しくて、入学の時期は遅れてしまって、クラスメイトが年下になっちゃうけど。
叔父さんや叔母さんが、少しばかり入学金を出してくれた。でも、敢えて親戚宅からは離れた遠い遠い短大を選んだ。
近くにいたら、きっと頼ってしまうから。
奨学金を借りるのは避けられないけど、アルバイトして、ワンルーム借りて、私はそこから大学へ通うのでした。
○
入学式の翌日、私は教室に入って息を飲んだ。
……講義はそれぞれ別室だけれど、一応はこの短大はクラスごとに教室があった。すでに登校していた生徒は皆"スーツ"を着ていた。私は……私服だった。白のブラウスに黒スカート。
慌てて、昨日の入学式で配られていた書類を確認して、ハッとする。『入学式後、翌日はオリエンテーションのため、スーツで登校すること』と小さい字で、最後に書かれていた。
クラスメイトの視線がえらく痛く、私は教室から出た。
「どうしよう……アパートにスーツ取りに行く時間も無い!」
焦りながら携帯の時間を何度も眺めながら、教室の前をうろうろする。
遠方から遥々やってきた私に、クラスメイトに知人も友人もいない。
相談する人もいない。
俯いて、仕方がないと、また教室に戻ろうとした時だった。