第3章 【アヴドゥル】もしかして私たち入れ替わってる!?
もしかして私たち……!!
入れ替わってるゥーーーッ!?
荒野に2人の男女の悲鳴が響く。
そこにいるのは私、モハメド・アヴドゥルと、仲間のスタンド使いのだ。
なんと、私達は……敵のスタンド攻撃を受けてしまい、お互い入れ替わってしまったのである!!
最初は、目の前に自分が現れた!? と驚いたが状況を理解してしまうと、(アヴドゥルの体)は、わあわあ言いながらぺたぺた顔や頭を触り、頬をつねってみたりしている。
私(の体)は、声にならない声を上げながらわなわなと震えている。
目の前の新手のスタンド使いの女が、高らかに笑った。
「アハハハハ! 滑稽ね。 誰かに”入れ替わっていること”を言うと、魂が体に定着されて元に戻れなくなるわよ? それに、私の存在も口にした途端に同様……! 誰にも言えないのよ!」
「ハァーーーー!!?」
は野太い声を上げた。
アヴドゥルボイスだ。
「な、なにぃー!!?」
私は甲高い声を上げた。
ボイスだ。
スタンド使いの女は背を向けて、くすくす笑いながら去ろうとしている。「ま、待て!」
私は叫んで走ろうとするが、思い切り転倒してしまった。
「何やってんだよ! オレが追いかけてやるーーッ!」
が走ろうとすると……同じように転倒してしまった。
上手く動かせない。いつもの自分の体の感覚と、かなり違うのだ。目線の高さもかなり違う。立ち上がるのでさえ一苦労だ。
「これでは追いかけられん」
私はその場でしゃがみこんでしまった。
敵の姿は砂煙の向こうに消えてしまっていた。はチッと舌打ちをして、荒野の地面を拳で殴った。
「なんで……よりにもよってアヴドゥルの体なんだよォーーッ!! しかも超絶野太いぞこの声!!」
「悪かったな! 私もお前みたいな甲高い声はゴメンだぞ」
「最悪だぜ!」
は悪態をつきながらゆっくり立ち上がった。
今日は宿泊先のホテルを出て、2人で買い出しに出ていた。は「オレは出たくねー!」と喚いていたが、くじ引きにより私と彼女が行くことになった。