第2章 【アヴドゥル】恋占いをお願いできますか
「これならもう逃げられないぞ!」
ニヤッと笑うアヴドゥルさん。
レッドバインドをされたわけではないのに、彼の大きな体で押さえつけられては、何をしても動けません……。
よく考えれば、ベッドの上で想い人が覆いかぶさるようなシチュエーションというのは滾るものがありますが、今はそれどころではありません。布団で顔も隠せず、私は喚くだけ。
「いやだ! どいてくださーい!」
「死ぬ気で懇願されても、どいてやる気は無い!」
「恋が終わってしまいますー!!!!」
すると、アヴドゥルさんがチッチッと言いながら指を振りました。
「確かに恋は終わったな」
私はそう彼に言われ、まだ告白としてないのに振られるなんてと心の中で嘆きました。
「……恋人”同士”になるというのは、いかがかな?」
「え!?」私は叫びました「誰と!?」
アヴドゥルさんは、ぶっと吹き出して「俺とだよッ!」と真っ赤な顔で言い返しました。
「あのなぁ。俺以外には顔を出して俺には見せないなんて、それは”アヴドゥルさんに恋してる”って言ってるようなものだぞ! わかり易過ぎだッ!」
……自分のことを”俺”と呼ぶモハメド・アヴドゥルは初めて見ました。彼も私と同じように顔がまっかっかです。
「占いは当たっただろう……?」
恥ずかしげにそう言うアヴドゥルさんは言うと、私の額にちゅっと優しくキスをした。
「は……はい……! あたりました!!」
私は思わず、アヴドゥルさんに抱き着いてしまいました。
幸せすぎて、もう死んでもいいくらいです。
なのに、彼は更に幸せを与えようとしてくる……。アヴドゥルさんの唇が、私の唇に近づいてきて……。
「えっ!? お前ら何やっとんじゃ!!?」
「ちゃん!!?」
ベッドの傍に真っ青な顔をしたジョースターさんとポルナレフがいました。なんと、全く気付けませんでした……!
「きゃあぁっ!!?」
「あぁっ……ジョ、ジョースターさん! こ、こ、これはですね」
さらに顔を赤くさせて焦った様子のアヴドゥルさんです。
それを見たジョースターさんは「ほほう」と言いニヤリと笑いました。
「アヴドゥルも様子がおかしいとは思っておったが……こういうことだったんだな?」
「うぅ……羨ましいぜアヴドゥルよ……」
ポルナレフさんがガクッと膝から崩れ落ちる。