• テキストサイズ

ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第22章 diable aux cheveux d'argent





今となっては、もうそれが叶うかどうかわからない。



「ふうん…」

意味深に笑った渡海は、隣に座る天城に向かって手を伸ばした。
不思議に思って見ていると、その手は天城の頬を柔らかく包む。

「俺が引き取ってやってもいいけど?」

どこかで予想した問いではあった。
だが天城はそれに対する答えは決めていた。

「ジュノがいるのに?」
「…ジュノって誰」

あからさまに不機嫌になってしまった渡海を見て、天城は心から笑った。

「おまえには、あげないよ」

これ以上、弟の人生に負担になるようなものを背負わせるつもりはなかった。

父親が背負わせた十字架の上に、更に兄である自分の想いを背負わせるわけにはいかなかった。


窓辺の床は暖かく、眠くなった天城は渡海に寄りかかって目を閉じた。

「あんたは…自由に生きたらいいさ…」

その声を聞いた渡海は、遠い目をした。

「そんなの俺の勝手だろ」

その声が天城に届いたか、渡海にはわからなかった。

「俺の自由は、俺が決めるさ」

小さく呟くと、兄の肩を抱いた。
そして自分の胸に引き寄せると、その髪に唇を埋め目を閉じた。

微かに、潮の香りがした。

/ 840ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp