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ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第5章 約束


泣きながら、目が覚めた。

薄っぺらい布団から手を出して、涙を拭った。

それでも、後から後から…
止めどなく涙は溢れてくる。



どうして…
殺してくれって、言ったのか…

あの時約束した、あのセリフを言ったのか…

わからなかった

でも、智が死にたがってるのは、わかった


だから、殺した


あんなに震えてる智に、一体何が起こっていたのか…
あの時の俺は、わかってなかった。

でも、そうしなきゃいけないって。
思ったんだ…



手帖…

智を殺した後、俺の部屋から出てきた。

自首しようと準備して…
クローゼットに入っているのに気づいた。

無我夢中で、それを読んだ。

そして、わかったんだ。

やっぱり俺は間違ってなかったって…

智は死にたがってたんだ。

身体が動かなくなる恐怖に、勝てなかったんだって。


最後の最後まで…俺に甘えて…

「バカ…弱虫…」

希望なんて…遠に失ってたんだろう。
ただ、機械のように生活するだけで、精一杯だったんだろう。

それでも…

智は病気が発覚してから、3年も…

俺と一緒に居てくれた


智は…

俺のこと、愛してたんだ


この世の誰よりも



智の命を絶った罪は、償う。

智のご両親にも、自分の両親にも申し訳が立たないから。
みんな、俺達のこと否定しなかった。

そればかりか、ずっと応援してくれてた人たちだから…

それに…
かっこつけだったから、本当の理由なんて、言わないよ?

怖かったから殺してくれって…
俺に頼んだんだって。

あの人達には、言わないからね…



でもちゃんと刑期を終えた、その時…




「待っててね…智…」




きゅっと、また目尻に溜まった涙を拭った。



「それまで…そばに居てね…」


ベッドの外に手を伸ばした。






微笑んだ智が、俺の手をきゅっと握った






【END】
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