第18章 こちら、アラシノ引越センター!
「ん…ねむぃ…」
「そうだな…」
いっぱいいっぱい、話をして。
キスをして。
触りっこをして。
何度かそういう雰囲気になったけども…
でもそれよりも今は、お互いにお互いを大事だと思えたことが嬉しくて。
朝までふたりで笑いあった。
あれほど嫌悪した男なのに。
大野さんも、もう恋愛なんかできないって言ってたのに。
こうやって俺たちはひとつの部屋で、互いの気持ちを確認して笑い合ってる。
とても、幸せだった。
「あ、そう言えば…」
「ん?」
大野さんはテーブルに置いてあったスマホを取った。
なにやら操作して、画面を俺に向けた。
「ぶっ…」
そこには潰されたカエルみたいに道路で伸びる藤島の姿が映し出されてた。
「いつこんなの…あの時、撮ったの!?」
「ああ…あれ以来、証拠は大事だって理解したからな」
ふふんと得意げに大野さんは笑った。
「これ使っていいから。またニノの姉ちゃんに言って撃退しようぜ?」
「もお…ありがとう…」
「いいよ…俺がおまえのためにしたかったの!」
真っ赤になって、大野さんは立ち上がった。
「バイト行かなきゃ…コーヒーでも入れてくる」
そう言って、台所のガラス戸を開けた。
かと思ったら、振り返って俺を見た。
「ありがとうな、ニノ」
今まで見たこともない、とびきりの笑顔で──