第18章 こちら、アラシノ引越センター!
この声…
どこかで聞いたことある。
「は…?」
人垣の中からそっと伺うと、元嫁だった。
怒鳴っている相手は、俺のDVから元嫁を救ったなんとかくんだ。
もう名前もよく覚えてない。
だって元嫁とできてたのはコイツなんだから。
「大きな声出すなよ…!」
「出させてるのはアンタじゃない!私、産むからっ!」
「だからっ…あいつの子だったらどうするんだよ!?」
おいおい…
いいのかよこんなとこで…
ふと、この模様をニノに見せたくなって。
スマホを取り出して録画してみた。
起きたら、一緒に笑ってくれることを願って。
元嫁は髪を振り乱して、なんとかくんに掴みかかっている。
「だから何回言ったらわかるのよ!?この子はアンタの子なの!離婚する1年前から、アンタとしかシてないから!」
え…?
そんなシてなかったかなあ?
いや、うん。確かにそうかも。
忙しすぎたし、元嫁にも避けられてたし。
「そんなこと言ったって信用できるわけないだろ!?俺は他人の子供なんか育てたくないからな!」
「他人って何よ…!私の子でもあるのよ!?」
じゃあ、まああれだ。
あのエイリアンみたいな女の腹にいるのは、絶対俺の子じゃねえな。
そう確信して、安心した。
安心したら急になにもかもバカバカしくなった。
やっぱりお前ら、俺のこと嵌めやがったんじゃないか。
ちょっとムカついたけど、でも今日はそれどころじゃない。
暫く撮影をしたあと、そっと奴らに見つからないよう救急待合まで戻った。
戻ったら制服姿の警官とスーツを着たおじさんが居た。
看護師さんが俺を手で指すと、そのおじさんはこちらを見て微笑んで挨拶をした。
ニノの事件で話が聞きたいと。
どうやらコンビニの店員が通報したようだった。
もう今日は…
なんて日だ!