第18章 こちら、アラシノ引越センター!
『黙って見てりゃいい気になりやがって…他の男に尻尾振りやがって…!』
他の男…?
一体、何を言ってるんだこの人。
『いいか…二度とおまえがこんなことしないように、ちゃんと体に教えてやるよ…』
そのまま引きずられて俺のアパートの部屋の前に来た。
武井さんは手に俺の部屋の鍵を握っていた。
『ちょっ…ちょっと…何する気…』
『うるせえ!黙ってろ!』
それで鍵を開けると、俺を部屋の中に投げ入れた。
『二宮…俺という男がありながら、どうしてあんなことするんだ?』
部屋の床に倒れ込んだ俺の上に、武井さんがのしかかってきた。
『やっ…やめろよっ!』
突き飛ばそうとしても、びくともしない。
もがいて、足で蹴り飛ばそうとしてもだめだった。
力で、圧倒的に敵わなかった。
『じっとしてろよ!』
ガツっガツっとでっかい衝撃と、眼の前に火花が散った。
あまりの事に何が起こったかわからなかった。
小学生の時に野球の練習中に顔に軟式のボールが当たった時を思い出した。
俺…殴られたんだ…
左の頬に熱を感じる。
痛みの恐怖で体が強ばる。
『いっ…いやっ…』
それでもなんとかもがき続けて、抑え込もうとする隙を縫って、手を伸ばして何かないか探る。
でも床には何も置いていない。
武器になるようなものもなかった。
逃げようとしても、力の差が圧倒的で。
なにもできない。
俺は、何もできなかったんだ……