第18章 こちら、アラシノ引越センター!
ふわふわとした、朝だった。
バイト先へ向かう電車の中で、ゆらゆらと窓の外を眺めている。
年末なのとラッシュとは逆方向なのもあって、今日はらくらくに座れた上に、周囲にひともまばらだった。
「いててて…」
昨日の忘年会でだいぶ飲みすぎてしまった。
頭がズガンと痛むが、今年は仕事納めに行くとバイトにはお小遣い程度だがボーナスみたいなのが出るとかで。
少しでも稼いでおきたかったから、会社に向かっている。
昨日、一体どうやって帰ったか記憶がない。
気がついたら家で寝ていた。
多分、車で来てたひとのうちの誰かが送ってくれたんだろうけど…
「悪いことしちゃったなあ…」
おれんち、遠いのに…
でもやっぱ一番飲みすぎた原因は、西川班長だよなあ…
あんな歌が上手いなんて、信じられない。
そして…
「へへ…」
スマホを開くと、アドレス帳を意味なく開く。
スクロールしていくと、すぐに新たに登録された番号があった。
昨日、二次会だか三次会の席で(酔っ払っててもうどっちだかわかんない)、勇気を出して連絡先を聞いてみたんだ。
そしたらさ、普通はLINEとか教えてくれるのに、あの人…
「電話番号…ぶぶ…」
今どき、電話なんてしてくるやついる…?
って思ったけどさ。
なんだかすごく大野さんらしいって思ってしまって。
そのまま電話番号を登録させてもらった。
もしかしてSNSとかやってないのかなあ…
「……やってなさそう」