第18章 こちら、アラシノ引越センター!
「…俺…浮かれてる…」
ぼそっと言うと、恥ずかしそうに鼻の頭を掻いて。
それから、紙タバコに手を伸ばした。
1本取り出して火を付けると、灰皿を引き寄せた。
「さっきの、聞かなかったことにして…恥ずかしい」
「え…ヤダ」
「えっ?」
俺も…なんかこの雰囲気に、浮かれてるのかも…
「忘れないよ?」
「ちょ、まじ…勘弁…」
「あ、照れてる。大野さん」
「もう…まじで、やめて?ニノ…」
え…?
ニノ…って…
「あ、ごめん…嫌だった?呼び捨て…」
「えっえっ…全然!嫌じゃない!」
「ああ…よかった。じゃあ、これからニノって…仕事中以外は、呼ばせてもらうね」
「う、うん…じゃあ、俺は…俺…、大野さんでいい…」
「えっ。なんかもっとこう、親しみを込めた呼び方があるだろ?」
「だって、年上だし…」
「年上だけど!ほら、なんかあるだろ!」
「いやなら、チャーン呼びで…」
「名前何処行ったよ」
「チャーン!」
「イクラちゃんかっ」
「ハーイー!」
「…ふぼっ…わかった、ぶふっ…わかった…から…」
おもっきり笑ってくれた。
良かった…渾身のイクラちゃんのモノマネして。
「じゃあ、ニノ…」
「なに?大野さん…」
そう言ってから、ふたりで目を合わせて…
爆笑した。
「ぶーーーーっ…チャーンじゃねえのかよ…」
「ぶぶぶ…や、嫌だよ…」
ふたりでゲラゲラ笑ってる声も、喧騒の中に消えていくくらい、居酒屋の中はにぎやかだった。
だから遠慮せず、爆笑した。
こんなに笑ったの、久しぶりだった