第18章 こちら、アラシノ引越センター!
カミさんとは職場結婚で。
結婚したら、カミさんは寿退社して悠々自適の専業主婦していた。
家はカミさんが守って俺は仕事だって邁進してたら、他に男作って。
おまけにDVをでっち上げられて、弁護士が出てきた。
俺も弁護士を雇えばよかったんだけど、あの頃は無知だった。
証拠もないし、なにより無実だから大丈夫だろうと思ってたら、見事に二人で貯めた貯金も独身時代の貯金も全部もっていかれた。
カミさんがつけていた日記とやらが証拠として出てきたからだ。
これをもとに、裁判するって言われて…
ビビって離婚届にサインしちゃったんだ。
噂が広がって会社を辞めなきゃいけなくなったし、実家にも顔を出すこともできなくなった。
誤解だって言いに行く気力すら…わかなかった。
言ったところで、誰も信用なんかしてくれないと思う。
周囲の…友達だと思ってた人たちの、あのゴミを見るような目が一番堪えた
それから、誰にもなんにも言わず、住んでいたところを出て、この支社の近くに引っ越してきた。
ボソボソと、つっかえながらも説明したら、シンとしてしまった。
あ…喋りすぎたかな…
「そっか……大変だったな…」
西川さんが労ってくれた。
「ま、人生いろいろ…オンナもいろいろ…」
「…もう、懲り懲りっす…」
「人間不信ってやつ?」
「オンナ不信です」
そう言うと、少し笑えた。
あ、俺、笑ってる。
そういや、ここに勤め出してから、ちょっと気が紛れてるのかな…
ふと、隣を見ると、二宮くんが泣きそうな顔してた。
「ど、どうした?」
「え…」
「なんでそんな顔してんの…?」
「あ…いや…なんでも…」
ゴシゴシとおしぼりで顔を拭いた。
「…しんどかったですね…」
おしぼりで口元を隠しながら、ぼそっと言ったのが聞こえた。