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ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第18章 こちら、アラシノ引越センター!




「お電話ありがとうございます!アラシノ引越センター、受付担当の野瀬でございます!」

電話には、元気よく出なければならない。
なぜなら、元気さが売りの我社であるから。

社訓には…

『清く 正しく 元気よく!』

という社長の戯言があるので、仕方ない。
低血圧の私にはちょっとキツイが、仕方ない。

「お見積もりのご依頼でございますね…かしこまりました!」



私は、営業事務の野瀬。
このアラシノ引越センターの東京西支社に勤めて5年である。
世田谷と三多摩地区(武蔵野市、三鷹市、調布市、狛江市、西東京市などから以西の地域)が担当エリアだ。

繁忙期を除けば、残業もないし、めんどくさい接客もない。
それに事務員も男ばっかりの職場だから、女同士のあれやこれもない。
楽なので、フリーターだったはずなのだが、あれよあれよと試験を受けて正社員として居着いてしまった。

『1015車、作業完了』

ザーピーと事務所の中央に設置されている無線機から音が聞こえてくる。
1015車とは、ナンバーが「10-15」というトラックのことだ。
トラックに付いている無線で、作業完了の連絡だ。

携帯電話が各現場リーダーに配られているんだが、大きいトラックには無線もまだまだ残っていて活用されている。

「了解。予定通り次の現場よろしく」

配車担当の事務員北島さんが無線機で応える。

『了解です』

返事が来ると、「なんもいえね~」と言いながらデスクに戻っていく。

事務所の玄関とは反対側にある、廊下への出口から作業員さんがドカドカと集団で入ってきた。

「おつかれっすー!次の現場の確認書貰いに来ました~!」


ああ…筋肉軍団が来た…

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