第12章 BOY【M side】EP.5
放課後を告げるチャイムが鳴る。
一斉に立ち上がるクラスメイト。
その風景はいつもと変わらない。
ふと窓辺の席を見遣ると、そこには微動だにしない二宮の姿があった。
机に頬杖をついたまま、二宮は外を眺めていた。
一限目から、その姿勢はほとんど変わることはない。
なにを、眺めてるんだろう───
最初は、そんな好奇心だった。
ずっと観察していると、二宮は特になにも見ていない事に気づいた。
2階の教室は、決して眺めがいいわけじゃない。
グラウンドの端がかろうじて見えるだけで、授業をやってる女子の姿が見えるわけでもなかった。
いいモノを見ているわけでもなかったら、一体何を見てるんだ?
2年生になって、初めて同じクラスになった。
小さくてかわいいと、女子の間では二宮は評判になっていたが、愛想が悪くてすぐに話題にも上らなくなっていた。
だけど、たまに女子に呼び出されて渋々出向いている姿を見ることがあった。
同じクラスになって気づいたが、二宮はかわいいんじゃない。
セクシーなんだ。
女子たちは、そんな二宮の色香を嗅ぎつけているんだと、俺は妙に納得した。
それは、よく見ていないとわからない。
時たま見せる、その色香に俺はなんとなく目が離せなくなってた。