第2章 今日の猫来井さん③
ピンポーン
今日は週に一回の猫宮さんのお宅でのお仕事です。
「こんにちは~!猫宮さ~ん…」
青い屋根の小さなマンション。
でも鉄骨造で、しっかりとしたよい分譲マンションでございます。
なんでもここ最近厳しくなった耐震設計基準にも批准しているのだとか。
ここの三階の一部屋を猫宮さんは将来の投資用に買われたのだとか。
将来は、ここを出て一軒家にお住いになるのが目標だそうで…
なんでも株とかで、資産運用しながら生活をなさっているそうでございます。
…私にはとんとわからない世界の話でございます…
「…猫宮さ~ん…?」
ピンポンを押しても、全くお返事がございません。
ここは猫野さんの家と違って、三階だしベランダから覗き込むわけにもいきません。
「…どうしましょう…おでかけなのかしら…」
電話をしましょうとカバンからスマホを取り出すと、後ろの階段を登る音が聞こえてきます。
「あら…?」
振り返ると、階段を登ってくるのは猫本さんでした。
「猫来井さん!」
「あれ…?」
猫本さんが猫宮さんとお友達だというのは承知しておりましたが、猫宮さんのお宅に誰かが遊びにきているのは初めて見ました。
「お珍しい…今日は猫宮さんとお約束ですか?」