第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
「ええっ…」
ダーオカもサクミル王子の言ってることにびっくりしてる。
「な?そうだよな?シャトシ?」
王子が、意味ありげに俺に目配せしてきた。
「う…うん…」
話し、合わせておけばいいんだよね…?
「ならば、シャトシもアッカドの者なのか!?」
「えっ…それはっ…」
「おまえら、ふたりして姉上のこと、謀ったのか!?」
そう来たか!
いや、そうか!そうなるのか!
「それは違う」
またもやサクミル王子が冷静に答えた。
「このダーオカというのは、ギーザの工事現場で働いておる。な?そうだよな?ダーオカ」
「はっ…はいっ…エジプトのため、3年前から働いております!調べて頂いたらわかると思います!」
「む……」
やっぱりあそこはギザだったんだ…!
だとすると…ダーオカの働いていたのは、ピラミッドやスフィンクスの建造現場かもしれない…!
「凄いっ…」
なんだか興奮してきた!
「ナイルの娘は、俺や妹がこの国に来てから現れたと聞いている。しかも現れたのはギーザだと聞いている。そうだよな?ダーオカ」
「はっ…はい!そうです!ナイルから生まれておいでになりました!」
「なんと…ナイルから…」
「ナイルのワニに襲われても、傷一つありませんでした!あの方は、ナイルの神の娘です!」
周りを囲んでいる人たちが、ざわざわと騒ぎ出した。
「なんと…本当なのか!?」
「この方は、ナイルの神から生まれた娘なのか…?」
一斉に、視線が俺に注がれるのを感じた。
「は……?」
みんなが俺のこと見てる。
なんだ?
ピラミッドのこと考えてたから、今の話し聞いてなかったんだけど…