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【FF7 ヴィンセント BL】Halloween Night

第2章 真夜中


ヴィンセントは、読んでいた文献を机に置いた。
ちらりと窓を見ると、金色の満月が高く昇っている。
僅かに目を眇め、口の端に微かな笑みを浮かべて、ヴィンセントは書斎を後にした。

リオの寝室の扉をノックもせずに開け、躊躇いなく中へ入る。
ベッドの中程に、毛布を被って丸まっている影がある。
部屋の中には、麝香に似た、甘い香りが漂っていた。
ヴィンセントはバルコニーのカーテンを開け、窓を全開にした。
満月の金色の光が部屋へ差し込む。
その明るさに満足すると、ヴィンセントは部屋に戻り、月明かりに照らされたベッドに乗り上げた。
スプリングが撓み、もぞり、と動いた毛布を、剥ぐ。
「んう……、」
眩しさに反射的に目元を覆った華奢な手首を掴み、シーツに押し付けた。
「い、た…、んん……っ、」
ぎゅっと閉じていたふさふさの睫毛が、眩しげに、少しずつ開く。
その奥から、濡れたように煌めく銀色の睛が現れた。
「んっ……、ヴィ…ンセントさ、ん?」
「リオ」
「あっ、なに……あ、や、やだ、窓、」
月明かりに皓々と照らされているのに気付き、リオが暴れる。
だが、ヴィンセントに掴まれた手首はびくともしない。
「やだ、窓、暗く、してくださ…」
「リオ、もう分かっている」
ヴィンセントの言葉に、リオが動きを止める。
「ーーーウェアウルフ。今夜は満月だ」
「ーーーやっ、」
バスローブがはだけるのも構わず、リオが全力で抵抗を始める。
「いやっ、やだっ! 離し…、離せっ!」
普通ならば、華奢な躰のどこにこんな力が、と思う程の激烈な抵抗だが、ヴィンセントは驚かなかった。
リオの両手首に素早く銀の枷を嵌めると、ベッドヘッドに繋ぐ。重い鎖が、じゃらり、と鳴った。
「………っあ、」
潤んだ銀色の睛に、恐怖と絶望、そして羞恥の色が見え隠れする。
シーツに散らばった銀髪の頭部から、やがて、ぷるぷると震える狼の両耳が覗いた。白銀の美しい毛並みの耳先は、しかし完全に伏せっている。
「……やっ、……み、見ないで、」
「悪いが、全て見せてもらう」
震えるリオにヴィンセントは酷薄に嗤って、狼の耳を唇で噛み、息を吹き込んだ。
「んああああっ、あっ、あっ………やっ、」
堪らず嬌声を上げたリオの頰に、さっと朱が走る。
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