• テキストサイズ

【FF7 ヴィンセント BL】Halloween Night

第4章 夜明け


明け方、リオはふと微睡みから醒めた。
暖かい。肌触りの良い毛布だ。
嬉しくなって横を向くと、ヴィンセントの寝顔があった。
途端に頭がはっきりして心臓の鼓動が速まる。
射るような眼差しの睛が隠れていても、どきどきしてしまう。
黒く長い睫毛から頰、…唇、……喉仏と、視線が下りてゆき、起き抜けの頬に熱が上った。

ーー昨夜、このひとと。

そうっ、とベッドから降り、鏡の前で首を傾けてみる。
細く白い首筋に、二箇所、直ぐにそれと判る傷跡があった。
指で触れると強い脈拍がある。

リオは再び、ヴィンセントの眠る毛布へと潜り込んだ。
「………」
男の首筋に掛かる艶やかな黒髪を、そっと払う。
リオと同じ位置に、似たような傷跡があった。
それは昨夜、リオの犬歯が食い込んだ証だ。
何度も絶頂して、あまりに気持ちよくて、ヴィンセントに惹かれて、切なくてーー永遠を欲した。

リオは唇を開き、赤い舌を覗かせると、引き寄せられるようにその傷跡へ吸い付いた。
舌で確かめるように舐めていると、頭上から微かな笑い声が降った。
「擽ったい、ーーリオ、」
背中に温かな腕が回り、幸福感に包まれる。
と、片方の腕が更に下へ降り、尾骨を撫でた。
「ん…っ、」
「……月が出ている間だけか」
狼の尾のことを言っているのだろう。耳も人のそれに戻ったし、犬歯ももう伸びてはいない。
「今夜と明日の夜くらいまでなら、月光を浴びれば……そうなるよ。……好き、なの?」
「そうだな」
ヴィンセントはリオの瞼に口付けた。
それから頬、
「おまえのすべてが」
唇へ。

次の満月と、その次の満月。
あと二度、血の交換をすれば、リオはヴィンセントと永い時を共にすることになる。

「ーーところで、」
ふと、ヴィンセントが思い出したように言った。
「咬んだのは、おまえの方が先だったな。どういうつもりだったんだ?」
訊かれて、リオは少し照れた。
「知らないの? 狼は…交尾のときに、首筋を咬むのは、」
銀色の睛がいたずらっぽく煌めく。
「愛の告白」
そう言って向けられた笑顔に、ヴィンセントの口が僅かに開いた。
/ 17ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp