第10章 本当に好きな人。【求婚篇④】
『ん……んん…』
神山「華時副隊長!!」
『か、神山…?』
神山五郎。
一番隊に所属している。
このメガネはいちいちうるさい!!
『どうしてここに…てかここは…!?』
神山「あぁ!副隊長良かったですっ!無事で良かったですぅぅううううう!!」
ひしっと私の腕を掴む神山。
私は構わず、その手を振り払い神山をチョップした。
神山「いたいっ、」
『私の質問に答えろ、神山。』
かちゃりと神山は乱れた眼鏡を直しながら私を見た。
神山「ここは病院ですよ。」
『病院!?』
確かに、このベット私は知らない。
私の腕にもなぜか白いガーゼで手当てされている。
病院と分かるとなぜか胸がほっとした。
…あれ、私なぜここにいるんだっけ。
『み、みんなは!?』
神山「みんな?」
『ゆーくんとか、土方さんとか近藤さんとか…それと…』
私は意地悪な笑みをした大切な人が頭のなかで浮かんだ。
『沖田隊長とか……』
すると、神山はふっと笑って私の頭を優しく撫でた。
神山「大丈夫です、無事ですよ。」
『ほ、ほんと!?』
神山「ええ。………
沖田隊長達は。」
え?
沖田隊長達"は"?
『…誰が無事じゃないの?』
神山さんは手を私の頭から離した。そして、私と目線をそらした。
神山「今回の主犯です。」
『……ゆーくん…』
神山「副隊長と主犯は最後に同時に斬りかかりました。そして、お二人は気絶をしましたが、結果的に勝利をつかんだのは副隊長、あなたです。」
私が…?
私はこのガーゼ2枚くらいですんだの?
ゆーくんは…?
ゆーくんはもう命に関わってる状態なの?
……私が…ゆーくんを……殺した…ってこと?
神山「そんな顔しないで下さい、副隊長らしくありませんよ。」
『……』
私は神山の言葉をスルーして病室を出た。
神山「副隊長!?どうしたんですか!?」
神山がついてくる。
『…ゆーくんの病室はどこ?』
神山「……副隊長…。」
神山はそれから何も言わずにただただ私の一歩前を歩いて無言でただ歩いていた。
神山「ここです。」
『……失礼…します。』
私は何も考えないでゆーくんのいる病室を開けた。
神山は病室に入らなかった。気を使ってくれたのか、礼を告げてからドアを閉めた。
『…ゆーくん…』