第8章 恋とは一体。【求婚篇③】
綺麗な血しぶきが飛ぶ。
私の目の前でゆっくりと
ゆっくりと
沖田隊長が倒れていく。
『え…?』
雄心「ごめんね、歩美」
雄心がカチャリと拳銃をしまう。
それで何を撃ったの?
沖田隊長じゃないよね?
沖田隊長…
沖田隊長…?
『沖田隊長っ!!!!!』
私は血に染まる沖田隊長を抱き上げた。
沖田「華時…」
『え、え、大丈夫なんですか!?痛いですか!?生きてますか!?!?』
沖田「もう…無理でぃ……すま…ねぇな」
『は?ふざけんな!このくそドS腹黒隊長め!!!死なれねぇ、とか言ってたじゃねぇか!!!』
悔しくて悔しくて涙が出てきた。
『私のこと依存してるんじゃ無かったの?真選組の事好きなんでしょ!?』
私の問いかけに沖田隊長は答えない。
私の目をずっと見てるだけだ。
『ねぇ、嫌だよ?』
私は沖田隊長無しじゃ嫌だ。
無理。
『……ゆーくん?』
雄心「なに?」
『何で撃ったの?』
雄心「俺にとって都合がいいから?コイツ面倒だったんだよね、俺の部下ドタドタ死んでいくからさ。」
ゆーくんは笑いながら私に近づいた。
ねぇ、ちょっと待って…
近藤「おい」
静かなゴリラの声が聞こえる。
雄心「あ?」
近藤「総悟を元に戻せ。」
雄心「無理だろ、考えろ。」
近藤さんがゆーくんを睨む。
近藤さん…まじで怒ってる。
いつもニコニコしてて優しい近藤さんが人を睨むなんて…。
でも、理由は絶対に分かる。
目の前でぐったりとしている沖田隊長…。
私もゆーくんを睨んだ。
ゆーくんは私など見もせず近藤さんを見る。
『許せない…許せないんだから…』
雄心「あ?」
『私は……沖田隊長の後ろを歩きたい。』
私はまた刀を構えた。
『前など私にまだ見えなかった。だから、沖田隊長の後ろをついていきたい。…いきたかった。』
沖田隊長は私をそっと見る。
まだ…意識は少しだけあるんだ。
そこで私は伝えようとする。
沖田隊長への想いを。
『ゆーくんが昔、女の子を彼女として連れてきて私に紹介してくれたよね。』
そして、私は攘夷志士達を斬った。
『…あの時、もやもやしたんだ。なんで隣が私じゃないのだろう、ってね。』