第7章 大切な人が敵だとしたら【求婚篇②】
『なっ…』
雄心「仕事で疲れていて、多分みんな歩美の笑顔に癒されてるんだよ。」
私が癒してる?
私が…???
雄心「そこでだ。」
ゆーくんはニヤリと笑った。
空気がまた黒い空気に戻る。
私は拳銃ではなく刀を掴んだ。
雄心「真選組が依存してる歩美がいなくなったら、俺ら攘夷志士にとってはとっても好都合だからな。」
『私を…利用した…ってこと?』
雄心「まぁ、そういえばそうなるな。」
あっさりとゆーくんは言った。
嘘でしょ?
ゆーくんは私を利用してた…ってことなの?
嫌だ。
無理。
嫌だ!!!
『嫌だ!』
雄心「は?」
『いつまでも頼れるゆーくんでいてよ!!!』
私は刀をぬいた。
『…私だって依存してるさ。』
雄心「はは、誰にさ。自分に?」
ゆーくんが刀をぬいた。
周りの攘夷志士達も刀をぬいた。
私はゆっくりと口を動かす。
『いいや、違う。』
そして、前を見る。
いける。
そして、ゆーくんに刀をむける。
そして、言葉を放つ。
『真選組にだ!!!!!!!!』
私は地面を蹴る。
そして、ゆーくんのところへと光る刀を向けて最高速度で向かう。
『攘夷志士!雄心!かく…っ』
雄心「俺を殺せるの?」
え……!?
ゆーくんが私をみた。
一瞬なのに。
ほんの一瞬のはずなのに。
とてもゆっくりに感じて。
世界がスローモーションで。
それがなぜか心地よくて……
でも、それも一瞬だった。
雄心「好きだったんでしょ?大切なんでしょ?」
好き"だった"?
大切"だ"?
それは…?
雄心「俺の事が。」
『え…』
力が抜ける。
やばい、
さっきまでの勢いも嘘のように力が入らない。
刀も必死に抱えるくらいしんどい。
なんで…
殺せる…で…しょ?
はやく殺せよ、私。
だって、土方さんにも怪我をさせたんでしょ?
だって、一般民も殺した許せないヤツなんでしょ?
許せないって自分で言ってたでしょ?
殺せよ、私。
心のなかでは何度も何度も唱えているのに力が入らない。
どうして?
刀を向けれない。
殺せない。