第1章 いちいちギリギリの所で助けにくる人。
歩美side
『沖田隊長、朝ですよー。』
私は隊服を整えながら沖田隊長の部屋の前で叫ぶ。
…返事がない。
『沖田隊長ー?』
…返事がない。
『…入りますよー?』
私は沖田隊長の部屋をそっと開ける。
布団はあったが、そこに沖田隊長の姿はなかった。
『沖田…隊長?』
「だーれが、勝手に人の部屋入っていいといったでィ。」
背後から、いつもの声が聞こえる。
『おはようございます、沖田隊長。』
沖田「おい、何事もなかった見たいな言い方するな。」
沖田隊長は私をビシッとチョップすると隊服に着替え始める。
『……さっきまでどこに行ってたんですか?』
沖田「ちょっと早起きしただけでィ」
沖田隊長は朝なのに、たくさんの汗をかいていた。
『道場ですか。』
沖田「それより、まだここにいるんですかィ。
男の着替えを堂々と見るなんて、豚でもないぜィ。」
『だ、だれが豚ですかっ!わかってますよ!私だって別に沖田隊長の着替え見たって何とも思わないもんっ!』
そう言って私は沖田隊長の部屋を出る。
『失礼しましたっ!』
沖田隊長は私の上司で、私の所属する一番隊の隊長である。
私は見事最近副隊長に選ばれたが、正直だるかった。
だって沖田隊長の近くにいる部下だよ!?
最悪…じゃん。
優しいところなんかひとつもない。
いっつも私をパシってきて。
いっつも私をからかってくる。
意地悪な沖田隊長。
私はため息をつきながら食堂に出た。
『土方さん、おはようございます。』
土方「ん、おはよう。お前はいっつも朝は強いな。」
土方さんが眠たそうに煙草を吸いながら言った。
『朝は沖田隊長を起こさないといけないので、どっかの鬼副長に怒られちゃいます。』
土方「別の意味で怒りそうだな。その鬼副長ってやつ。」
『ですね。』
何気ない会話をしてから私はいつものサンドイッチを食べた。
今日も美味しい。
お仕事頑張ろう。
土方「なに、サンドイッチを見てニヤニヤしてんだ、気持ちわりぃ。」
『…煙草取り上げますよ。』
土方「今日もお前は綺麗だな。」
『別の意味で寒気がします。』
土方「斬るぞ。」