第2章 惚れた人。【ミツバ篇】
ミツバ「だから……」
『…?』
ミツバ「……だから……」
『だから……?』
ミツバさんの頬に水滴が通過する。
『ミツバ…さん……』
夕焼けのせいか、ミツバさんの涙は光って見える。
とても、美しく
そして、強い綺麗な涙だった。
ミツバ「だから………」
ミツバさんは私とまっすぐ向き合って
涙を流しながら言った。
ミツバ「歩美さんも、頑張ってね。」
何が頑張ってか。
何で私なのか。
私に関係あるのか。
全然意味がわからなかった。
でも、私は返事をした。
涙を流しながら。
『……はい。』
ミツバさんは複雑だ。
好きなのに。
好きなのに。
今も好きなのに。
それでも、違う人を好きになろうとしている。
ミツバさんは幸せなのか。
それはわからない。
それでも、きっと、
いや絶対。
私には分かる事がある。
ミツバさんの想い人は幸せだ。
ミツバさんがその後病院で倒れたと聞いたのは
そんなに遅くなかった。