第1章 始まりは突然に
空気を吸うことはこんなにも難しい事だったかと思うほどに、何度吸っても整う気配のない呼吸。
このまま窒息してしまうのではという錯覚までする。
「はっ、はっ、はっ……」
「大丈夫か? ちょっと落ち着け、深呼吸……できる?」
声を発することも出来ず、私は左右に首を振る。
どうやら過呼吸気味のようで、指先にだんだんと痺れが出てくる。
クロはと言えば、色々と指示を出してくれるがそれに応えることすら出来ない。
最終的にクロの口で私の口は塞がれて、強制的に鼻で呼吸をする事でそれは治まった。