第1章 始まりは突然に
「はぁ、はぁ……はぁ……」
「アイツにも、そんな顔見せたの?」
「して……ない……」
「珍しいこともあるんだな? アイツがキスもしねぇでヤるなんて?」
「ヤるって……なにを……?」
「これからする事」
「ちょっ、クロ! 木兎とはホントに何もっ……やっ、んっ……」
これから起こることに気付き、誤解を解こうと口を開くも再びクロの唇に阻止される。
再び深い口付け。
そちらに意識が向けさせられている間に、クロの手は胸元のジッパーへと伸び、あっという間にジャージの前が開けられる。
それ以上進むのを拒む小さな抵抗も、クロに抑えられ背中に一括りにされてしまう。
背中で蠢くクロの指先は、いとも容易くホックを外しシャツの中へと伸びてくる。
「やっ! クロ、も、やめてっ!!」
ほんの一瞬、唇が離れた隙に発する抵抗の声も虚しく、再びクロの唇で塞がれてしまい、シャツの中の手は目的地へたどり着く。