第1章 お彼岸の1日
「天津風(あまつかぜ) 雲の通ひ路(かよひじ)吹き閉ぢよ 乙女の姿 しばしとどめむ」
『天を吹く風よ、天女が帰っていく雲の中の通り道を吹き閉ざしてくれ。乙女の美しい姿を、もうしばらく地上に留め ておきたいのだ/僧正遍照/百人一首』
※五節の舞という祭事で、舞を披露した少女達を天女に見立てて歌ったものです。
「降る雪は あはにな降りそ 吉隠の 猪養の岡の寒からまくに」
『降る雪よ、あまりたくさん降ってくれるな、吉隠の猪養の岡に眠るあの人が寒いだろうに/穂積皇子/万葉集』
※桂小太郎の作品に使用した「人言を」は、但馬皇女から穂積皇子の歌ですが、こちらは穂積皇子から亡くなってしまった但馬皇女への哀歌です。