第3章 誰よりも大切な君
薬研「ん・・・なんだ・・・?はぁ?!」
いつのまにか眠ってしまっていたようで、薬研は胡座を組んだ膝の上にある暖かな重みに瞳を開けた
見たこともない小さな少女がスースーと寝息を立てているのだ
薬研「5、6歳ってところか?それにしても、やけにぶかぶかな服を着てるんだな。ん?大将!」
起こさないように少女を見ていた薬研はふと気がついた
少女の服が昨日の卯月の服そっくり、というよりそのものな事に
ただ髪の色が烏の濡れ羽色のような漆黒から、焔を宿したような真っ赤に変わっている
慌てて審神者の眠る褥を確認すると予想通りもぬけの殻だった
薬研「大将が小さくなっちまった・・・ははは・・・鶴丸じゃないが、こりゃ驚いた」
小さな卯月『ふぁ〜よくねた〜ん?わぁ〜まっかっか!それにちっちゃい!あ!やげんだ』
目の覚めた審神者は自分の髪を見て嬉しそうに驚き、小さくなった身体を確認してさらに楽しそうに笑った
薬研「あんまり驚いてないな・・・もしかしていつものことか?大将!瞳が!」
卯月を膝の上に抱き上げ直した薬研は、そこでとんでもないことに気がついた
卯月の瞳の色が真っ赤なのだ
刀剣たちは加州のように瞳が赤いもの、大倶利伽羅のように金色のものと様々だが、赤や金は異形の象徴、人ではありえない