第2章 主に従いなさい
最初に来たのは優しそうな女審神者
前の審神者のことが忘れられないだろうから、と審神者部屋を使わず離れで生活を始めた
優しい笑みと思いやりに、心を開いていった刀剣たちだったが、その本性は、稽古と称して中傷、時には重傷を負わせ恍惚の笑みを浮かべるサディストだった
そして次に来たのは自分を優秀だと勘違いしている審神者
出撃の失敗を全て刀剣たちのせいにし、腹いせに怪我をしたまま放置し出撃させるような最低な男だった
刀剣たちの金子を懐にしまい込むがめつい中年審神者
レア太刀に夜伽を強制する淫乱女審神者
いい加減うんざりしていた時、もっとも最悪な審神者がやってきた
若くイケメンなそこそこ優秀な審神者だったが、ショタ好きの変態野郎
短刀たちに女装をさせ身の回りのことを奉仕させる
一期たちが辞めてくれるよういくら頼んでも聞いてくれず、短刀たちの心は荒んでいった
言霊で縛られた刀剣たちは逆らえず、一期たちもまた助けられない不甲斐なさから心が堕ちる寸前だった
そして刀剣たちは決意した
《悠月の霊力が尽きた時、一緒に逝こうと》
本丸を自分たちの結界で覆い、新しく来る審神者全てを否定した
あと数日もすれば悠月の霊力が尽きると安堵していた時、結界が破られ久しぶりの優しく清らかな空気が刀剣たちの心に触れた
急いで外に出てみれば、そこにいたのは不敵な笑みを浮かべた幼い少女だった
薬研(ここも、片付ける必要があるな・・・)
部屋を見渡せば、審神者(悠月)の面影で溢れていて少しだけ胸が苦しくなる
薬研「不思議な大将だな・・・あんなに心を閉ざしていた奴らの心まで溶かしてしまうとはな」
今までの審神者とは明らかに違う卯月
楽しい日々が、弟たちの笑い声が本丸中に響き渡る日も近い、と頬を緩ます薬研だった